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2026.11.2

コラム

AIで誰でも提案書が作れる時代に、営業の価値はどこに残るのか

AIで誰でも提案書が作れる時代に、営業の価値はどこに残るのか

こんにちは。株式会社エージェントの今枝です。

ここ1年ほど、自分の営業活動を振り返ってみると、仕事の進め方がかなり変わったと感じています。

一番大きいのは、やはりAIです。

つい2年ほど前までは、お客様への提案書も基本的には自分で一から作っていました。周辺企業の求人を調べ、条件を比較し、過去の掲載結果を見返し、課題を考え、それをPowerPointに落とし込む。時間が足りなければ内勤スタッフに手伝ってもらうこともありました。

振り返り資料も同じです。数字を一つずつ見て、自分の目で必要なデータを拾い、そこから仮説を立てていました。

もちろん、今でも最終的に考えるのは自分です。ただ、「作る」という工程は明らかに変わりました。

例えば提案前であれば、競合との違い、現状の課題、改善策など、まず自分の頭の中で考えます。それを音声で話してテキスト化し、AIにも整理させる。さらに、必要なデータを読み込ませて別の角度からの意見も聞く。

以前であれば数時間かけて手作業していた部分が、かなり短い時間で形になるようになりました。

■「作る時間」が減って、「考える時間」が増えた

こう書くと、「楽をしているだけでは?」と思われるかもしれません(笑)。

ただ、私は逆だと思っています。

営業にとって本当に必要なのは、PowerPointの図形をきれいに並べる時間でも、Excelから数字を転記する時間でもありません。

「この会社が採用できていない理由は何だろう」
「この条件なら、どの層にどう見せるべきだろう」
「この結果を踏まえると、次は何を変えるべきだろう」

こうしたことを考える時間の方が、よほど重要です。

AIのおかげで作業時間が短くなった分、お客様について考える時間を増やせるようになった。私自身は、これが営業活動におけるAI活用の一番大きな変化だと感じています。

■では、AIがあれば新人でもベテランと同じなのか?

以前、お客様との会話の中で、あるベテラン営業の話を聞いたことがあります。

営業経験が10年近くあり、業界の中でも十分に経験を積んでいる方が、「AIがあれば、1年目の営業でもベテランが作るような提案資料を作れてしまう」と、少し複雑な気持ちになっていたそうです。

気持ちは分かります。

昔であれば、競合情報を集めるにも時間がかかりましたし、提案の構成を考えるにも経験が必要でした。今はAIに聞けば、情報を整理し、比較し、それらしい提案書までかなりのレベルで作ってくれます。

その意味では、経験年数による「資料作成能力」の差は確実に縮まっていると思います。

ただ、私は営業そのものの差までなくなるとは思っていません。

なぜなら、最後にその提案を受け取るのは生身の人間だからです。

AIが作ったきれいな資料をそのまま持っていっても、「なぜこの提案なのか」と聞かれた瞬間に答えられなければ意味がありません。

「この会社なら、この条件を変えた方がいい」
「この数字は悪く見えるけれど、実はここは問題ではない」
「過去に似たケースがあり、その時はこう改善した」

こういう話には、やはり経験が出ます。

提案資料そのものはAIで一定水準まで作れても、そこに説得力を持たせるのは、これまで何社のお客様と向き合い、何回失敗し、何を改善してきたのかという積み重ねだと思います。

■結局、「何を買うか」以上に「誰から買うか」

求人広告も、以前に比べればかなりデータを見ながら投資判断ができるようになりました。

10年、20年前のように、「やってみないと分かりません」と、ある意味で博打に近い感覚で広告費を使う場面は少なくなっています。100%ではありませんが、過去データや市場データをもとに、より確度の高い提案ができるようになったと思います。

一方で、現場から離れたまま過去の成功体験だけで話していると、判断を誤る危険性もあります。

市場は変わりますし、求職者の動きも変わります。AIや新しいサービスが出れば、できることも変わります。

だからこそ、経験がある人ほど学び続けなければならない。

私は、お客様が最終的に判断する時は、「何を買うか」だけでなく、「誰から買うか」が非常に大きいと思っています。

同じ求人媒体、同じ商品、同じような提案でも、「この人が言うならやってみよう」と思っていただけるかどうか。

ここはAIがどれだけ進化しても、営業に残る価値ではないでしょうか。

■AIは「ドラえもん」のようなものだと思う

営業現場でたまに話すのですが、私はAIを「ドラえもん」のようなものだと思っています。

次々と便利な道具を出してくれて、使えば使うほどできることが増える。

ただし、それを使うのがのび太なのか、ジャイアンなのか、出来杉くんなのかで、結果はかなり変わると思います。

少し乱暴なたとえですが(笑)、便利な道具があることと、それを正しく使えることは別です。

AIが出した回答に何の疑問も持たず、そのまま自分の意見として話してしまえば、いざお客様から質問された時に言葉が出てきません。

逆に、自分なりの仮説や経験があり、その上でAIを使えば、考えを深めたり、見落としていた視点を補ったりできます。

結局、AIが営業を強くしてくれるのではなく、AIをどう使うかで営業力の差がさらに広がるのではないか。最近はそんなことを考えています。

■まとめ

AIによって、情報を集めることも、比較することも、提案書を作ることも、以前とは比べものにならないほど簡単になりました。

ただ、それによって営業の価値がなくなるとは思っていません。

むしろ、手作業の時間が減った分、「何を考えるか」「どう判断するか」「なぜそう提案するのか」が、これまで以上に問われるようになると思います。

資料を作ることが仕事ではなく、その資料を使ってお客様の課題をどう解決するかを考えることが仕事です。

便利なものは積極的に使う。ただし、自分の経験や判断までAIに預けない。

私自身もまだ勉強中ですが、これからの営業は、AIを使えること以上に、AIを使って生まれた時間を何に使うかが大切になるのではないでしょうか。

 

 

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